スタイルを作るためには、自分自身をまるごと正確に、イマジネーションを駆使して知っていくことが必要だ。そこには誰にでも当てはまる法則やマニュアルはない。それぞれの内面、外見に合ったスタイルがあり、将来の展望にしても、もっと仕事をしていきたい、社会の中で認められたいと思う人と、結婚して専業主婦になりたいと思う人とでは、選ぶ服はおのずと違ってくる。たとえば、私が講義を受け持っていたあるセミナーの生徒さんの一人に、こんな女性がいた。彼女は初めて教室にやってきたときから、私の目を惹きつけた。ゆったりとした絹の紺色のシャツとパンツ。同じ色の腫の低い靴。その全身の紺の色はシャツのミッドナイトブルーからでパンツの黒に近い濃紺まで微妙に変化している。さらに装いを引き立てているのは、触ってみたくなるような鮮やかなブルーの大きなストールだ。それを肩からフワリとかけている。凝った織り方のその絹の布は、一目で作家ものだとわかった。年齢は二十代の半ばぐらいだろうか。
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