文法を覚えたり語彙を暗記したりするのも大切です。ただ問題なのは、外国語学習への導き方、つまり学習の順序です。私がとりわけ指摘したいのは、この点の十分な理解です。これからの外国語学習は、従来とは視点を変えた方法を考えるべきでしょう。つまり、目からの学習を「耳からの学習」に置き換えてみることです。「文法書を閉じること」、「単語は後回しにすること」、そして「まず音声を聴くこと」をアドバイスするのには、たいへんな勇気が必要です。誰もが、外国語の正体を早く知りたいし、それには文法や単語を覚えるほうが手っ取り早いと考えるからです。でも、歌を覚えるときに、けっして歌詞を覚えてからメロディーを覚えることはないように、ことばも、言語のメロディーにのせて覚えるべきものです。私たちが日本語を上手にしゃべれるのは、日本語のメロディーがことばを支えているからで、メロディーのないことばはありません。外国語も母語のようにそのメロディーを聞くことから始めるべきです。この学習方法は、誰でも簡単にできますし、なにより、楽しく、新しいことばの世界へ入っていくとてもいい方法です。ここのところがうまくいけば、後は放っておいても単語や文法をどんどん吸収し、身につけていけるものです。これこそが実は、外国語マスターの早道にほかなりません。