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「オレもあいつと同じ人間」であることを確認

理想化された医者が患者をホメたり励ましたりしても、自己愛が深く傷ついている患者には、あまり効果がないこともある。いわゆる「ヌカにクギ」という感じで、全然手応えが得られないのである。そんなとき、「自分もあなたも同じなのですよ」、ということを伝えてやることが治療に役立つことがわかってきた。「私も、あなたと同じような不安で眠れなかったことがありますよ」「私も中学生のころは、お父さんが嫌いでたまらなかったのですよ」たとえば、こんなふうに、励まし方を変えるのである。それを聞いた患者は、やっと安心する。「このお医者さんも、自分と同じだったのだ」「自分だけが特別にヘンなわけじゃなかったのだ」前に述べたように、自己愛が傷ついているときは「自分が他の人間と同じである」という感覚をなかなか持てない。そのために、患者は理想化した医者に対し双子のように一体化した関係になりたい、同じような人間でありたい、という欲求に対して、医者が双子の役を演じてあげるわけである。これを「双子転移」と呼び、医者のほうがこの欲求に応えて患者の自己愛を支えるメカ号スムを、「双子機能」と呼ぶ。「自分だけが特別劣っているんじゃないか」「オレはあいつらみたいに頭がよくないから……」という不安を持つこと自体、もちろん異常でも病気でもない。むしろ、思春期ならばだれでも持つ不安といっていい。そんなとき、「オレも同じだったよ」と、双子の役を演じてくれる親友や先輩、教師がいてくれるだけで、かなりラクな気持ちになれる。逆の立場では、自分が親友や仲間に対して双子を演じてあげることで、お互いが支え合う関係になれる。こうした関係はけっして甘えているとかいって批判されるものではない。お互いに相手を認めて支え合う関係は、一方的な依存ではなく、ギブ・アンド・テイクのできる「大人の関係」を結んだことになるのである。