先生になって最初の1年間は、つらいこともたくさんありました(笑)。学生時代は、ただ先生について行くだけでよかった。しかし、先生になってみると、自分が何かをしないと何も始まらない。月謝払うのと、給料をいただく立場の違いですね(笑)。でもつらいこと以上に、喜びや感動も大きかったです。新任で年長児のクラスを担当したのですが、まだ実習生の続きのような意識のときだったと思います。まだまだ先のことにもかかわらず6月には、子どもたちが卒園することを考えて涙が出るほどに悲しくなってしまったことが印象に残っています。その頃は毎日たいへんでしたけれど、発見と感動の連続でした。特に年長児の反応のよさが、すごく面白かった。少し難しい歌でも、歌いたい気持ちを伝えると、子どもたちはどんどんついてきてくれるんです。年長児は保育をしていて刺激が多い分、たいへんなところもあります。何より、こんなこともできる、あんなこともできる、という気持ちを実現させていくことが大切です。それが満足させてあげられないと、破壊的な行動になったりします。子どもたちが、明日に期待を持って通える保育園というのは楽しいですよね。あれもしたい、これもさせたいで、だんだん子どもだちと仲よしになってくると保育の面白みというか、深みも出てきます。やればできるものだと、1年経って思いました(笑)。こういうことを子どもと一緒にしたいという、ビジョンを持っている先生は、楽しそうに仕事をしています。「あれもしなければ、これもしなければならない」という意識では、仕事がつらくなるばかりです。今度、保育園教育要領が改定されましたが、基本的にはこれまでとあまり変わっていないと思います。それまでの教育要領から読み取れるものは、子どもたちに一斉活動や課題活動をさせてはいけない、子どもは自由に活動させれば育っていく、というような誤解を受けやすい表現だったんですね。ですから改定では、教師が計画的に子どもの発達に応じて環境を構成し、子どもの活動が充実していくような環境を、意図的につくっていくことを強調したものだと思います。また、これまで保育園は、学校教育の中で付け足しのように表現されていたのですが、今度はその最初に明記されました。これは幼児教育の重要性が認識されてきた表れでしょう。しかし、誰もが、人間の土台づくりをする上で、幼児教育が大事だと言いながらも、実際には幼児教育への評価は、まだまだ遅れていると思います。
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