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危機意識をもち全社一丸で五年後に一〇兆円を目指す

収益力の低下に、T氏をはじめとするトヨタの首脳陣は危機感を募らせる。「首脳陣ばかりじゃない。現場も相当強い危機意識をもっている。過去の例を見てもわかるように、危機意識をもったときのトヨタは強い。収益力が落ちたとはいえ、日産をはじめ他社との間にはまだまだ開きがある。今回、収益力回復に向けて危機バネが働いたことで、他社との差は一層広がるんじゃないか。不況になるとトヨタは強い、と昔からいわれているが、国内シェアではトヨタが四四・九%で、日産が二一・四%(九三年五月の数字)となっており、そのことを証明している。自動車業界ではトヨタ一強に対して、日産をはじめ他社を“弱者連合”なんていっているが、トヨタとそれ以外のメーカーとの企業間格差は今後ますます開いていくと思うよ。トヨタの首脳は、業績がいいときでも決して楽観的なことはいわず、絶えず従業員に危機感をもたせるようにしているので、こんなことをいうと嫌がられるかもしれないな」(業界事情通)T氏は九〇年代後半のトヨタの販売台数について、三七八万台(九三年歴年見通し)から、「国内外で三百万台ずつ、全世界で年間六百万台を目指します」と、販売不振の折にもかかわらず、強気の目標を設定するとともに、「五年後には売上高一〇兆円、営業利益率は四〜五%程度にしたいですね」と語っている。これらの目標が達成されれば、トヨタの首位の座は不動のものになると思われる。“強さ”と”良き″のバランスをとりながら、T氏の下、トヨタは目標達成に向けアクセルを踏んだ。

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