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大学に入っただけで幸福

開高健の葬儀のとき、青山斎場に早目にいって、いちばんいい場所に座っていた。同行の人が、物怖じしたから、開高さんの本を私は全部なめるように読んでいるのだから、これでいいのだ、といいました。それで、司馬さんの長い長い弔辞を聴く幸運に出会うことができました。ところで、終わって外に出てみると、極寒の中、遠藤周作、阿川弘之等々の大御所たちが、列をなして立ちつくしているんですね。やはり、悪いことをした、という気持ちにはなりました。田舎ものの無神経、とでもいうのでしょうか。でも、山崎正和といったら、大学に関係なく、黙ってても聴衆は集まります。江藤淳といったら、慶応の連中はともかくもやってくる。しかし、大阪大学といったら、「え、大阪の大学ってどこの大学?」というようなものです。「バンダイ」っていわれるのですから。「バンダイ」じゃわからない。「カンダイ」(関大)に間違われる。実をいうと悔しい。しかし、若い人特有の悔しみなんです。これがないと、ちょっと困る。私が学生たちに、「お前ら三流大学だよ」というのは、軽蔑しているわけじゃない。ところが、札幌大学の学生に、「お前ら、無印大学だよ」といっても、「へへへ」って笑ってる。入っただけで幸福だ、という学生がかなりいます。これ、ちょっと気持ちが悪い。教師のぬるま湯的体質が学生に感染したわけじゃないんでしょうが。まあ、お父さんお母さんも、「とにかく大学入ってくれてよかったね」という感じです。父親として、私も同じ感じをもちますが。
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